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「うわぁーーー!!!どいてどいてーーー!!!」
見慣れたはずの通学路に見慣れない男が現れた。
髪は短く、ワックスで固めているのか空に向かって伸びている。
自転車に乗っているので身長までは分からないが、多分160の私よりは高そうに見える。
声から察するに元気がよく、明るい性格なんだと思う。
私とは正反対だな。髪の毛は長いし、暗いし、絶対仲よくなれないタイプ。
そんな男が、自転車に乗って猛スピードで私に向かって突っ込んでくる。
必死になれば多分かわせるんだろうけど、毎日怠惰に生きてきた私はそんな方法忘れてしまった。
それに、入学式早々自転車とぶつかってケガなんて少し面白いかも、なんて思ってしまう。
いや、待てよ。
自転車とぶつかったら高確率で後頭部を強打して死ぬと教わったような・・・。
そうこう考えていると、確実に避けるタイミングを失ってしまった。
男はワーワーわめきながら私に近づいてくる。
ダメだな。ぶつかる。
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