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「いいな、『カラダ探し』が始まったら、男子と女子で分かれよう。俺達は玄関を入って右の東棟、留美子達は左の西棟、どこにあるか分からないけど、一人が1フロアを調べれば、すぐに終わるさ」
玄関を出た所で、私達に説明する翔太。
確かに分かれた方が、探し物を見付けるには良いと思うけど、翔太は大事な事を忘れている。
「『赤い人』が出たらどうするのよ……それでも探せって言わないよね?」
「昨日の夜は、校内放送で『赤い人』の出現場所を知らせてくれた。現れる場所が分かったら、とにかくそこから離れるんだ。いいな?」
こんな状況だというのに、翔太はよくそこまで考えられるものだ。
高広も高広で、地面に腰を下ろして、あくびまでしている。
翔太の話に興味はない……そんな感じだ。
「話は終わったか?だったら帰ろうぜ。さっさと終わらせて、明日が来ればそれで良しなんだろ?」
そう言って、高広が校門へと歩いて行った。
その後、これ以上考えていても仕方がないという事で、私達も帰る事にした。
私達が、校門を出る時に、ふと振り返って見た渡り廊下……。
そこには、遥が無表情でこちらを見ている姿があったのだ。
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