一日目

3/12
前へ
/576ページ
次へ
「何なんだよ!いきなり『カラダを探して』って!わけ分かんねぇ!」 放課後の教室で、遥に「カラダ探し」を言われた私達は話し合っていた。 「詳しく教えろよ!『カラダ探し』って何だ!?」 さっきから怒りながら私達を見ているのは高広。 クラスでは、乱暴者の部類に入る私の幼馴染みだ。 「知らないのか?『赤い人』を見たら、校門を出るまで振り返ってはいけないんだ」 眼鏡をクイッと上げて高広に話す翔太。 「それでね、振り返ったら、カラダを八つ裂きにされて、校舎に隠されるんだって」 怖がりの理恵が震えながらそう言う。 「で、それを探さなきゃならないわけ。遥のカラダを、私達がね」 カラダ探しを、あまり本気にしていないような言い方の留美子。 そして、無口な健司が頷いた。 「お前ら、頭は大丈夫かっつーの!そんなの、ただの噂話だろ?」 高広の言うように、普通ならそう思ったかもしれない。 でも……今日の遥の目は、まるでマネキンのように、どこを見ているか分からない不気味なモノだったのだ。 「バカバカしい……帰ろうぜ」 高広の言葉で、私達は教室を出た。 この後、何が起こるかなど誰も知らずに……。
/576ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41874人が本棚に入れています
本棚に追加