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部屋のドアが音をたてずに開く。
俺が振り向けば、そこに居たのは、知らない青年だった。
海を思わせるような蒼(あお)く少し長い髪に少し暗い緑の瞳が物静かな表情を造り出す。
俺はこの姿を知らないが、本来の姿は知っている。
『その姿は初めてだな、グレイユ。』
俺は目の前に居る青年に話しかける。
青年の姿をしたグレイユは俺を見て、少し笑っていた。
『流石にわかるか…4年も一緒に居たからな。しかし、何故わかったんだ。』
『魔力の雰囲気だな。人と竜とは違うし、竜でも個人差が多少はあるからな。』
グレイユは神妙(しんみょう)な表情をして唸(うな)る。
『なるほどな。ところで頼まれたことを報告しにきた。』
グレイユは口調を変え、真剣な眼差(まなざ)しを俺に向ける。
『敵は約34、率いているのはサクリファイアスかと。』
俺はグレイユの話を自然と受け入れていた。
『そうか…ご苦労だったな。後は俺がする。グレイユは魔晶を守ってくれ。』
『御意。』
グレイユは短い返事をしたあと、部屋を去っていった。
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