再戦

9/33
前へ
/71ページ
次へ
部屋のドアが音をたてずに開く。 俺が振り向けば、そこに居たのは、知らない青年だった。 海を思わせるような蒼(あお)く少し長い髪に少し暗い緑の瞳が物静かな表情を造り出す。 俺はこの姿を知らないが、本来の姿は知っている。 『その姿は初めてだな、グレイユ。』 俺は目の前に居る青年に話しかける。 青年の姿をしたグレイユは俺を見て、少し笑っていた。 『流石にわかるか…4年も一緒に居たからな。しかし、何故わかったんだ。』 『魔力の雰囲気だな。人と竜とは違うし、竜でも個人差が多少はあるからな。』 グレイユは神妙(しんみょう)な表情をして唸(うな)る。 『なるほどな。ところで頼まれたことを報告しにきた。』 グレイユは口調を変え、真剣な眼差(まなざ)しを俺に向ける。 『敵は約34、率いているのはサクリファイアスかと。』 俺はグレイユの話を自然と受け入れていた。 『そうか…ご苦労だったな。後は俺がする。グレイユは魔晶を守ってくれ。』 『御意。』 グレイユは短い返事をしたあと、部屋を去っていった。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加