1: masato side

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俺は“王子”と呼ばれている。 …まぁ、この呼び方をされてからもうすぐ一年がたつけど、まだ慣れていない。 というより、慣れるものではない気がする。 でも、天光が笑ったから、俺もつい笑ってしまった。 「んじゃ、昼休みにするかっ!」 何を昼休みにするんだ? 俺がそう聞くと、天光はさも当たり前のように答えた。 「え?“王子”を見に行くんだろー?」 ……本当に行くのか? 「………。」 沈黙を肯定と受けとったのだろう。 天光は続けた。 「“王子”、“王子”に会いに行く!ってやつだな」 楽しそうにいう天光に、俺は「行きたいとは言ってない」などと言えなかった。
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