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3月某日──
今日は県立竜野森(たつのもり)高校の入学式だ
「なんか緊張するなぁ……」
真新しい制服に身を包み、歩き慣れない道を歩くのはその高校に入学する1人の少年
少し背の小さな少年の体には合わない制服が非常に初々しい
「いくらなんでもでか過ぎるだろこれ……」
1人でぶつくさと愚痴を零す彼はやがて曲がり角にぶつかる
「ここを曲がれば竜高だ……」
少年は今一度高鳴る心音を落ち着ける
彼は別にアガリ症という訳では無い
ただ自分が目指していた高校に入学するという実感が芽生え心拍数が上がっただけの事
「マンガとかならここであっちからかわいい女の子が走って来てぶつかるんだけどな──「それはまだ早くねーか?」
「う…うわ!!誰ですかあんた!?」
やっと冗談を言う余裕が出来たと言うのにいきなり空から降ってきた中性的な声に少年は思わず宙を見上げる
「よっ!君ウチの一年生か!」
彼が見たのは塀の上に立つ男子学生
少年と同じ制服を身に付けている事からおそらく竜野森の生徒だろう
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