15人が本棚に入れています
本棚に追加
残り2回。
俺と赤坂は、遂に勉強道具すら出さず、相変わらず恋バナに明け暮れていた。
「ロールケーキ、喜んでくれたかなぁ…」
「大丈夫だよ、喜んでるよきっと…」
「そうかなぁ…」
しばらくすると、母さんがアップルパイを持って部屋に来た。
いつもよりも1時間も早い…って言うかまだ30分しか経っていない。
俺と赤坂は焦り、急いで勉強道具をだした。
「ああ、お母さん、勉強してますよ‥ってアップルパイじゃないですか!!」
「あはは、早く作りすぎたわね‥赤坂さん、アップルパイが好きだって言ってたから」
その言葉を聞いた赤坂は、目に涙を溜め、思わず叫んだ。
「ありがとうございます!僕、こんなに女性から優しくしてもらったの初めてです!」
「私も‥こんなに喜んでもらえたの‥初めてですよ…」
確かに、父さんは、母さんに何をプレゼントされても、何を作ってもらっても、無表情だったっけな…
妙な空気になり、その日はとても楽しく過ごした。
アップルパイとブルーベリーのロールケーキを囲み、さながら誕生日パーティーのようだった。
本当の家族のようだった…
最初のコメントを投稿しよう!