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結局その日は、終了時間を2時間も過ぎて、赤坂は笑顔で帰っていった。
残りは1回…こうなったら成功を祈るしかない。
赤坂が父親でもいい。あいつなら、俺と同じ目線で見てくれそうだ。父親では無く、友人として…
赤坂が帰るとき、母さんは暗闇の中、赤坂が見えなくなっても、手を振っていた。
もう両想いだと、すぐに分かった。
本当に分かりやすい奴ら…
そして、残り1回…
この日はもはや、パーティーを前提に赤坂は来ている。
俺の部屋からも離れ、台所でパーティーをした。
もとより2人は気が合う2人だったようだ。
あっという間に仲良くなって、あっという間に笑い合って…でも今日で最後だ。仮にダーマに正式に会員登録しても、来週来るのは赤坂では無いだろう。
所詮…赤坂はお試し用の教師だ…
楽しい時間もあっという間に過ぎ、帰り際。
てっきり赤坂か母さんが告白するものと思ったが…
2人はそこまで恋に馴れていなかったのかもしれない。
まるで小学生のようだ。お互い好きなのは分かっているのに、告白なんて…出来る訳無いのだ。
案の定この2人も、そうだった。
赤坂は最後まで、振り返っては、立ち止まり、何かを言いそびれていた。
隣で手を振る母さんも、何度走りだそうとしたか…何度叫ぼうとしたか…
でもついには…赤坂の姿は見えなくなった。
赤坂からメールが届いた。
‘ごめん,
俺は笑みを零した。2人が両想いと気づいたときとは、比べものにならないほど、重たい笑みだった。
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