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何度電話をしても直はでない。
いい加減待つのにも疲れた。
“ライブを一人でみてもつまらないだろう”と文句を言いながら帰りかけたその時、目の前の道路を挟んだ向かいの広場に少女を見つけた。
年は、僕よりは下か・・?
何しろ遠目でしかも夜なのでよく見えない。
ただ、身長180cmの僕の半分ちょっとあるかないか、くらいではないだろうか・・??
彼女はじっと、ただただ夜空を見上げている。
夜空をみて何が楽しいのだろうか、街の明かりで星もよく見えないというのに。
僕は興味本位で彼女の近くまで行ってみる。
向かいにつながる横断歩道を、
律儀に左右確認して赤信号で渡る。
ま、どうせ車なんてここは滅多に通らないのだ。
今家に帰っても、用事を放り出してしまった自分は姉に文句を言われるだけ・・
じゃあいいか・・。
僕は彼女のいる広場に入り、後ろから近づいていく。
“何をしているのか”
と聞くのも気恥ずかしく、僕は彼女からちょっと離れた左横で彼女と同じように夜空を見上げた。
そして彼女の視線の先を探してみた。
近付いてわかったが、
彼女は案外低身長ではなかった。
彼女の頭はだいたい僕の肩あたりに並びそうだ。
9月の寒空の下にしてはコートの下のワンピースから伸びる足は肌色。
まさか、生足!?
・・まさかなぁw
寒すぎるしw
動かない空気の中、一陣の細い風が西南方向から吹いてきた。
その風が彼女の肩甲骨あたりまである髪を持ち上げた。
柔らかそうな髪だ、と見つめてしまった。
なぁ、僕はその時見たんだ
これは見間違いじゃない、事実なんだ。
唐突に彼女は飛んだんだよ。
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