鬼道と影山

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「総帥……」 俺は夜空を見上げながら昔のことを思い出していた。 俺が帝国でサッカーをやるきっかけを作ってくれたのは総帥だ。 総帥に会わなかったらサッカーを続けていたかどうかもわからない。 そして、このゴーグル。 総帥の形見だ。 総帥がくれたこのゴーグルのおかけで物事を深く見ることができた。 だが、総帥。 あなたの心の奥底までは見ることができなかった。 本当はサッカーを愛していると言う心を。 俺は憎しみや恨みでしかあなたを見ていなかった。 「もっと早くに……気付けたらな……。」 まるで、親子のようにサッカーを楽しめたかもしれないのに。 そんなことを考えても総帥はもういない。 「総帥。俺はあなたに出会えて良かったと思っています。総帥に俺が見ている世界を見せます!このゴーグルを通して!俺と総帥は一心同体です!」 そうやって、俺は総帥と誓いをたてた。 でも、今はゴーグルをかけないでいよう。 涙で滲んだ世界は、もう見たくないだろうから。
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