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「いやだ~、可愛い花椒」
ワサビーナ太夫はしゃがんで花椒の目線に合わせる
すると、見えるものが違うのだろ
立っていたのでは気づかないことも気づく
「まあ!ほっぺが赤いじゃなーい
レディにやられたの?
大丈夫?」
ワサビーナ太夫か花椒を抱き寄せ、頬をスリ寄せる
「わ、私は大丈夫
……けど
太夫、痛いよ……」
太夫は慌てて花椒から少し離れる
「おやまぁ!
髭でもって残ってたかね?」
ワサビーナ太夫は親指を開き自分の顎のラインをなぞり確かめる
「ちがうよ
太夫に髭なんかあるわけないよ
でも、ぎゅうって……
ちょっと苦しい、かな」
少しはにかんだ様子の花椒をみると、ワサビーナ太夫のテンションも一気にあがる
「か~わ~い~い~
ああ、なんて愛らしいんだい、花椒!
そうだよね~、アタシのこの美貌で髭なんてあるわけないじゃないかい」
おどけて話すワサビーナ太夫に、花椒はクスクスと笑う
その笑顔をみると、ワサビーナ太夫の顔がいつになく真剣になる
「アンタ、レディのお付きなんてやめてアタシんところにくればいいのに」
ワサビーナの細く美しい手が、そっと花椒の赤く腫れた頬にふれる
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