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新校舎に残っている生徒がほとんどいないことを確認しながら渡り廊下を通り過ぎる
階段を下りながら肩から下げた手提げ袋の持ち手をぎゅっと両手で握りしめる
朝に感じた重みはもうない
ぬいぐるみより暖かく、質量はなかった
ぬいぐるみとは違い、鼓動を感じ息をしていた
だが、それとは違うおもりをいれたかのように、空の手提げ袋は持ち歩きたくなかった
あんなみたことのない動物が酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出しているのかとおもうと“生きている確証”が自分の中で揺らいでいく
あんな小さい頭に脳みそがあって人語を理解し、のどに声帯があり声をだすことができる
胸には小さい心臓があり、身体中を赤い血がながれているのだろうか
シュガーランド王国の住人はヘモグロビンとは違う物質が血液中の酸素を運ぶ為、赤い血でなく黄色や紫などありえない色なのだろうか?
むしろ酸素を吸い酸化炭素を吐き出す、云々とかそういう生き方すらしていないかも……
そう思いながら穂瑠は昇降口で靴を履き替えようとした
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