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ぬいぐるみは手提げ袋の中から少し顔だすと、短い手で下駄箱をさした
その先にあったのは穂瑠のローファーだった
なるほど
上履きと交換するため、必ずここに穂瑠がくると信じて待っていたのだ
だが、穂瑠にはぬいぐるみを信じることができない
「なんでここにいるの?
プリキュアを探しにいったらいいのに」
穂瑠は手提げ袋に生き物が入っていようがなかろうが、靴と大袈裟に取り出すと、くるりと1回転してから履き替え扉を抜ける
「だって、探しに行けっていってたけど、プリキュアはここにいるぜ~
だから、探す必要はないぜ~
ゼルはずーっと待ってたぜ☆」
少し横目で手提げの中をのぞくと、その空間がまるで我が物顔で悠長に座っている
時々中に入っているファイルが折れて邪魔そうに元に戻している
穂瑠にはなんだか微笑ましく思えてしまった
ふと、ぬいぐるみが顔を上げ穂瑠を見上げる
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