なになに、それって知らないよ

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「いやだ、何そのぬいぐるみ」 母親は機嫌が悪そうに穂瑠が抱えてる物を眺めている 「あ、これは怖くなってつい……」 穂瑠はばつが悪そうに言葉を濁す 「怖くなって何? ひろったの?」 母親は益々眉間に皺がよる ここで友達に貰った、といえるほど交友関係が広くない自分を恨んだ また、友達がいても貰ったというだけでお返しがどうのこうの、もらいっぱなしは面子が……など母親が穂瑠に対し小言をいうなど、それはそれで面倒なことになるのだ 「友達に……借りたの」 かなり無理のある嘘だったが、咄嗟に思いついた案はなんて陳腐なものだ 借りた理由を問いつめられたら……応えることはできないだろう、と穂瑠は覚悟する 「さっさと返してらっしゃい」 母親はため息をつくように肩を落とすだけで、そういうと居間にきえていった なにもとがめられなかったことに少し安堵するが、ぬいぐるみの様子が先ほどとは違うことな気づいた それとなく重さや温かさはぬいぐるみから感じられるが鼓動や息遣いかほとんどない もしや、と思い穂瑠はすぐさま自分の部屋に駆け込んだ
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