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「穂瑠!
ちょっと静かにのぼりなさい」
階段の下から母親の注意する声が聞こえる
「ごめんなさい」
踊場でそう答えると自分の部屋に急ぐ
「ゼル!大丈夫?」
穂瑠は生きている物だということを忘れ脇の下をつかむと大きく揺らした
「み、穂瑠ちゃま……
苦しいぜ……」
か弱い声がぬいぐるみからきこえた
「よかった……」
穂瑠はぎゅっとゼルを抱きしめる
今は先ほど感じられなかった鼓動が穂瑠の体を通して愛おしく思えた
「やっと穂瑠ちゃまが名前で呼んでくれたぜ」
「え?」
穂瑠は涙が潤んだ瞳でゼルをみつめる
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