なになに、それって知らないよ

12/29

27人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
「ちょっと、穂瑠! うるさいわよ」 急に母親が扉を開けて穂瑠の部屋に入ってくる 「どうしたの?」 平静を装ってみるも、穂瑠の背中は冷や汗で滲んでいくのがわかる 横目でちらりゼルに目をやる 「どうしたの?じゃないわよ 今日は伊吹のバレエ教室の日だから学校まで迎えに行く日でしょ 6時頃咲良が帰ってくるからお夕飯よろしくね メモを書いといたから咲良が帰る前に買い物、済ましてちょうだい」 「はい、お母さん」 そういうと母親は片方のイヤリングを付け直すと階段を降りていった 今日は妹の伊吹が有名な先生にレッスンをつけてもらうため、隣町の遠い教室まで通うことをすっかり忘れていた 今日は伊吹に付き添う為、母親は8時ぐらいまで帰ってこないのだ そんなときは姉の咲良と夕飯を作るのが日課だった 母親は、妹を迎えに行く時間なのに、着替えてくるのが遅い穂瑠に催促しにきたのだろう
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加