なになに、それって知らないよ

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「お姉ちゃんそれかわいい! ちょうだい!」 伊吹は穂瑠の鞄についているパクトを指差してさけぶ 「穂瑠、なにそれ 学校にそんなもん付けていく必要はないでしょ 伊吹にあげなさい」 やはり嫌な予感は的中 姉や妹と違い、自慢できる要素などない自分がキラキラと可愛いパクトをつけていくのはなにやら恥ずかしいやら申し訳ないやら、畏れ多い気がしていたのだ だからといって伊吹にキャンディーパクトを渡すことはできない 二人の話をごまかすように穂瑠はさっさと玄関を後にする 「穂瑠!お友達のぬいぐるみはどうしたの? 返しなさいよ!」 母親というものは細かいところまで覚えていて五月蠅いものだ 「わかった、返す! 行ってきます」 「あ、お姉ちゃんそれくれんじゃないの?」 穂瑠は伊吹の声に振り返りもせず、学校に向かい走っていった
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