0日目

7/9
92人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
  「はぁ!?どこに!!?」 「あんたが大好きだった、幹ちゃんの所よ?」 「か、かんちゃん?」  一瞬、母の言う「幹ちゃん」に思い当たる人物が思い浮かばず、首を傾げた。  しかし、幼い頃の記憶とともにすぐに「幹ちゃん」を思い出した。  「幹ちゃん」とは、正確な名前は「鳥海幹二(とりうみ かんじ)」と言い、俗に言う隣の家の子…、と言ってもすでに自立して隣には今は住んで居ないし、何よりもう三十路に近い良い大人だ。  小さい頃は、一人っ子の美優にとってお兄ちゃん的な存在で、とてもよく懐いてよく遊んで貰っていた。 (そう…小さい頃は…)  けれど、それは昔のことだ。 (今は…)  考えそうになった思考に美優は慌てて頭を振って追い出し、母を見る。 「あ、あのね!私もう高校三年だよ?それに再来月からは大学生だし。一週間ぐらい私一人でもちゃんと留守番出来るし…」  
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!