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「はぁ!?どこに!!?」
「あんたが大好きだった、幹ちゃんの所よ?」
「か、かんちゃん?」
一瞬、母の言う「幹ちゃん」に思い当たる人物が思い浮かばず、首を傾げた。
しかし、幼い頃の記憶とともにすぐに「幹ちゃん」を思い出した。
「幹ちゃん」とは、正確な名前は「鳥海幹二(とりうみ かんじ)」と言い、俗に言う隣の家の子…、と言ってもすでに自立して隣には今は住んで居ないし、何よりもう三十路に近い良い大人だ。
小さい頃は、一人っ子の美優にとってお兄ちゃん的な存在で、とてもよく懐いてよく遊んで貰っていた。
(そう…小さい頃は…)
けれど、それは昔のことだ。
(今は…)
考えそうになった思考に美優は慌てて頭を振って追い出し、母を見る。
「あ、あのね!私もう高校三年だよ?それに再来月からは大学生だし。一週間ぐらい私一人でもちゃんと留守番出来るし…」
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