哀レナ仔羊達

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爺さんの研究室を出ると、外でケイコが待っていた。 ケイコは廊下の壁に寄りかかり、つま先をじっと見つめていた。 「ごめん。遅くなった」 俺が声を掛けると顔を上げ、心配そうな表情を浮かべる。 「遅かったね、林教授に何か言われてたの?」 「あ、うん。“フィードバック”だってさ」 「フィードバック?」 俺に聞かれても、上手く説明できない。 「うん。意味解らん。多分あの爺さんボケちゃったんだろ。訓練行こうぜ」 「え?あ、うん。そうだね」 ケイコは釈然としない表情を浮かべたまま廊下を歩き始めた。 ケイコに案内されたのは教室みたいな部屋だった。 何で教室みたいかというと、塾みたいな机とホワイトボードが置いてあったから。 「何ここ、こんなとこで訓練できるの?」 「うん、オサムくんにはまずゲームに必要な知識を学んで貰わないといけないんだ。WAMとか他の機械の使い方、異次元空間の知識、その他にも色々」 ケイコはそう言いながらどこから持ってきたのか、大量の冊子を俺の目の前に積み上げていく。 「げっ、まじで勉強すんの!?」 「うん、今日はこの学習訓練で終わり。実践訓練はまた明日やろう」 「マジかよ。勉強だけしろって?給食のない学校みたいじゃん」 「ぷっ、アキラくんみたいだねソレ」 自分でもアキラに思考が侵されている事に気付いて凹む。 ケイコはそんな俺を見て、笑いながら励ましてきた。 「オサムくんは頭良いからすぐ理解できる筈だよ」 俺は目の前に積み上げられた冊子を一つ手に取り、パラパラと捲る。 どのページもビッシリ活字が詰め込まれていた。 どう考えても今日中に終わる量ではない。 「俺が勉強している間、ケイコはどうすんの?」 「あ、わたしはゲートの調査に行くよ。帰りはまたオサムくんを家まで送って貰えるように手配しておくから」 「え?ケイコ1人で調査行くのか?」 「うん、オサムくんの訓練終わるまで待てないし、仕事だからね」 「いやいや、俺も抜けて付いて行……」 「ダメ!!!!」 突然のケイコの大声にビックリし、言葉を失った。 部屋の空気が凍りつく……。
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