棄テラレタ日誌、一

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我々はとんでもない罪を犯しているのかもしれない……。 長時間の干渉波照射実験で出来たホール。おおよそ直径10cmのその穴の内部で観測された神の干渉波強度には、ただ驚くばかりである。 先日から、部下がホール外部の干渉波を観測しているが、その実測値は上がるばかりだ。 このままでは我々が開けたこのホールの所為で、この世界は終末を迎えてしまうかもしれない。 我々が開けた扉は、天国への“ゲート”か、それとも地獄への“ゲート”か。 やはり、あの男が言った通りなのだろうか。 そうなれば、我々は“神とのゲーム”に勝つために、大切なものを失わなければならない。 それだけはどうしても避けなければ……。 次回の学会でもう一度論文を発表しよう。もしかしたら、恩師の協力を得られるかもしれない――
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