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泣いている少女が首を横に振る。
「ううん。私がやります……」
隣に立つ少女が、黙ったままペットボトルを手渡した。
泣いている少女がそれを受け取る。ペットボトルの中には粘性が無く、サラりとした液体が入っていた。
ボトルのキャップを開け、その液体を遺体に掛け始める。
「私、プレイヤーなんですよね……人類を救う」
和室にツンとした臭いが広がった。
隣に立つ少女が静かに頷く。
「ええ……そうです」
泣いていた少女が、空のペットボトルを畳の上に置き立ち上がった。その瞳からはもう涙は流れていない。
「私がやらないと。お父さんとお母さんを救うために……」
しばらくして、マンションの一室から激しい炎が上がった。
夜の住宅街に黒い煙が昇る。誰もいない静かな街。
真っ黒い煙が夜空に向かって、高く、高く昇っていく。
天上に届く程に高く……。
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