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西日が照らす放課後の教室。窓から覗く中学校の校庭には、黄色く彩られたイチョウの木が並んでいた。
帰りのホームルームが終わると、同級生達は一同に部活に行く準備を始める。
俺は机に頬杖を突きながらそんな同級生達をぼんやりと眺めていた。
ただ何となく学校に来て、部活にも行かず何となく帰る。友達と呼べるやつも少ない。
無愛想なせいか、たまに怖いとか思われるけど、自分ではそんなつもりは無い。他人とどう接していいのか分からないだけだ。
昔はこんなんじゃ無かった筈なんだけど……。
学校も遅刻ばかりで、授業を聞く気にもならない。
でも、何かをしなければという気持ちだけはいつもあった。部活でもなく、勉強でもなく、友達付き合いでもない。漠然とした何か。
……多分、これが中2病ってやつなんだろうな。
「オサムちゃーん!何ボケーッとしてんだよ」
突然名前を呼ばれた。
顔を上げると、ガッチリした体形の金髪坊主が、ニヤニヤしながら俺の事を見下ろしている。
俺の数少ない友達。唯一の親友、アキラだった。
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