1072人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、本題に入りましょう。まずあなた方には一人ずつ別々の場所に散って貰いたいのです。今、わが国は未曽有の危機に晒されています。悠長な動きをしていられる状況ではないのです……。申し訳ありませんが、お願いします」
ハトリの言葉に、三人の変態がしきりに頷く。
あの混乱を瞬時に沈め、この変態三人を見事に手懐けるハトリは、実はかなりのやり手なのかもしれない。
「まず、禁児さんには北にある〝天狗洞〟に行って頂きます。そこに、一つ目の武具が封印されているそうです。そこまでの道中には、このリアを伴わせましょう。彼女はかなりの使い手です。きっと役に立つでしょう」
「ちょ……」
ハトリの爆弾発言に、傍らで話を聞いていたリアが思わず身を乗り出す。
「どうしたんですか、リアさん。大任ですよ?」
「お待ちくださいハトリさん……。いくら私と言えど、この変態と共に旅をする勇気はございません。ビキニアーマーとは言わずとも、このように軽装ですし」
リアが不安そうに言う。
確かにリアの格好は、なめし皮で出来た胸当てと白いシャツ。そして短いスカートといった、動きやすさを重視した格好になっていた。
「おい、俺の旅にリアたんがついてきてくれるらしいぜうひゃひゃひゃ」
「うむ、Bカップといったところか。皮の胸当てに隠されたおっぱいなど俺たちの世界では見れないからな。全くもって羨ましい……」
「騎士と勇者の禁断の恋……魔王の猛攻に不安になるリアに、俺が優しく手を差し伸べる。そして、こう謡うのだ。『怖がらないで、僕がいるからホトトギス』『あ……素敵……抱いてーイケメン勇者様!』という俺の計画がパーじゃないか! 畜生!」
早速、変態達がリアをオカズに大騒ぎを始める。
女は三人よればかしましいと言うが、彼らの場合はそれの遙か上をいっていた。
「ハトリさんお願いです、考え直してください。私の貞操が背水の陣です」
「却下致します。リアさん、ご武運を」
リアの必死の懇願も、ハトリには届かない。
リアの未来は、一気に暗闇に包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!