選ばれし変態

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変態と姫との問答がひとしきり終わった頃、ハトリがナナカにひっそりと耳打ちする。 「……姫、彼らはどうせ、魔王を倒したら元の世界に帰る運命なんです。だから、結婚の約束をしても絶対に果たされないので大丈夫ですよ」 「……そ、そうなんですの?」 「……ええ、だから今回だけは適当に返事して、彼らの士気を上げておきましょう」 「……わ、分かりましたの」 ハトリの言葉に納得したナナカが、深呼吸を一つして三人に向き直る。 「わ、わかりましたの! 魔王を倒せた暁には、結婚でもなんでもしてやりますの! だから、早く魔王退治に向かうですの!」 「ひ、姫様!?」 状況を把握できてないリアが、驚愕の表情を浮かべる。 対して、変態達は大歓声を上げて喜んでいた。 「まあ、そういうわけですので、頑張ってくださいね!」 「おー!」 ハトリの言葉に、変態たちがときの声をあげる。 ――かくして、変態勇者の伝説が始まった。
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