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「リア、なんですの!? 騒々しいですのよ」
玉座から、はっきりした声で返答が帰ってくる。
純白のドレスに様々な宝石が飾り付けられた金の王冠。
髪の色は透き通るような金色で、その肌もまた目を見張るほどに白く美しい。
まだ幼いながらも、ブルーの瞳から放たれる光は強く激しく、確かな意志を感じさせた。
「申し訳ありません、ナナカ姫! しかし、大変なのです。魔王の軍勢が、ついにミツヤシティを占拠したとの情報が入りました」
「なんですとー!? それはまずいですのね。あそこは流通の拠点となる要衝。これでは喉元に刃を突きつけられたも同然ですの」
「あそこは、クランシア神殿にも近いですからね……。秩序の巫女達が心配です」
ナナカ姫の横に立つ一人の青年が、話に割ってはいる。
彼の名はハトリ。
姫を守る近衛騎士隊長であり、ナナカ姫から最も信頼される人物である。
すっきりした黒の短髪に細身の身体という風体を見れば、誰しもが普通の青年だと油断するが、一度剣を抜けば一騎当千の戦働きを見せる猛将なのだ。
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