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「担任て……どうゆうことだ?」
さっきの話でおかしなところを訊くシグ。至極当然な質問なのだが、カールは柔らかな笑顔のまま、シグに返した。
「そのままの意味ですが?何か問題でも?」
「問題しかないだろうが。俺は今年から初めて教師をやるんだぞ」
「知っていますが?」
「なら何で俺に担任を持たせる?ろくな経験もない俺に、務まるはずがないだろうが!?」
シグは鋭い目つきを更に凶悪なものに進化させ、カールを睨んだ。常人ならシグの目を見ただけで卒倒だろう。しかし、カールににこやかに笑い、今までと変わらない調子で言った。
「先程述べたはずですよ?僕はあなたを信頼していると。シグ先生に担任を持ってもらうのは、いわば信頼の証ですね」
超いい笑顔でいってのけるカール。最早悪意すら感じられる信頼に、シグはドサッとソファーに力なく座り込んだ。
「はぁ……あんた、いい性格してんな?」
「よく言われますよ」
「はぁ……」
もうため息しか出ない。シグは抵抗という名の無駄な足掻きを諦めて、タバコを一本、口に咥えた。
「いいか?」
タバコを吸っていいかの確認。カールは頷き、シグは火を付けた。
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