シグとツララ

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「ふふふ、なかなか面白いものを観せてもらったよ、シグ先生」 「風の精霊王か……」シグはタバコに火をつけ、呟いた。「あんたみたいな奴からしたらこんな試合、お遊びレベルだろ?」 「謙遜しなくていいよ?最後の魔法は、ボクにだってまだ仕組みが分からないし、避けられたかどうか微妙だしね」 ジンはクスクスと笑う。本当に賞賛しているのか、それとも馬鹿する意味をこめてなのか、どちらとも取れない曖昧な笑み。 掴み所のない性格、まさしく『風』だな、と煙を吐き出すと共にシグは感じた。 「……ま、今回は素直に誉め言葉として受け取ってやるよ」 なんにせよ、どうやらジンは敵対するつもりはないようだ、とシグは適当に返しておいた。 「そうしてよ、風の精霊王相手に全く媚びない人間は珍しいんだから」 ジンは再びクスクス笑い、空中で一回転してユリの頭に帰った。 「じゃあねシグ先生。今度はボクともやりあおうよ」 ジンは最後に「またねマスター」と言い残し、姿を消した。 「………」 残されたのはフラン達とシグのみ フラン達は今だに呆然としたまま、シグを見つめている。 「し、シグ先生……なんというか……」 ようやく、といった形でフランが開きっぱなしの口を動かす。――が、 「待て、話は今度、時間がたっぷりある時にしてやる」 シグがそれを制し、口早に言った 「俺はこれから教室の後始末をしなきゃいけねぇんだ。だから今日は帰れ」 確かに、ツララとの戦闘で教室は壊滅状態だ。結界が張られていたからこそこの程度で済んでいるが、そうじゃなければ学園が倒壊していただろう。 「で、でもさ先生……」 「黙れ、『転移』」 ユリが何かを言おうとしていたが構わず、シグは転移魔法で五人を学園前に送った。 「…………」 残されたのはシグのみ。彼は煙を吐きつつ、土属性は誰が使えたっけ、と自分本位の事を考えていた
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