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「入学式だけあってか全員はおらへんけど、まぁ形ちゅーことで、シグ先生も自己紹介頼むで?」
イーリは金髪を揺らしてシグの顔を見た。
「分かったよ」
「ほな、行くで」イーリはシグの返答に満足そうに頷き、職員室の扉を開けた。「入るで~」
ガララ。
中は一般的な教室の二倍以上はある広さだった。ほとんどが教師達のデスクで埋められ、残りは分厚くなったファイルか詰められた棚が占めている。……いわば、普通の職員室。
大した感想も出てこないシグは興味なさげに中を見渡していると、隣のイーリが手を打ち鳴らし、注目を集めていた。
「お仕事中の皆さんちょいすいませ~ん。今から新人さんの紹介始めるで~」
イーリの無駄によく通る声が職員室に響き渡り、騒ついていた室内はピタリと静まり返った。……当然、教師達の視線は初めて見るシグへ注がれている。
好奇やら不審やら、様々な視線に曝されたシグの心中はとても穏やかなものじゃないが、イーリだけは「最高の舞台を作ったで」みたいな顔で親指を立てていた。
後でその親指をへし折るか、にやけた顔を見てイラついたシグは心に誓い、一歩前に立った。
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