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さらっと、イーリは笑いながら自分のランクを告げた。
「S?十分凄いんじゃないのか」
「SSのシグ先生からしたら雑魚も同然やろ。なんせ、SSの人数に対してSなんか星の数ほどおるやん。比べもんになりまへん」
確かにSランクの人数は何百人か存在する。それでも、教師の中では上の方だろう。
「まぁ、ランクなんて所詮はモノサシだからな……」
人には人の基準がある。それがたまたまシグと違っただけのこと。
そう自分に納得させ、シグは先を行くイーリに尋ねた。
「イーリ、これは何処に向かっている?」
「体育館や、入学式が、そろそろ始まるはずやからな」
「そうか……」
「あ、そういえばシグ先生新任の挨拶があるらしいで」
「は?」
唐突なイーリの言葉を聞いたシグは一瞬硬直してしまった。
「イーリ……なんつった?」
「ん?せやから入学式で新任の挨拶があるちゅーことやけど?」
「…………」
初耳。しかも、入学式が始まる直前。
イーリはシグの様子を見てけらけらと笑った。
「知らないのも無理ないでシグ先生。だって、学園長から口止めされてたんやもん、ギリギリまで内緒って」
「…………」
シグは既に無表情。内心では学園長への罵詈雑言を飛ばしながらも、まずは目の前の悪に目をつけた
「ん?シグ先生?どうしたんや近づいてきて、あれ、わての親指持ってどうする気や?シグ先生?親指はそっちに曲がらへんで!?シグ先生!?痛い!折れる、これマジなほうでアァあァアァー!!」
何故か親指を抱え悶えるイーリを放っておいて、シグは一人体育館に向かった。
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