始まりと挨拶

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王立【ハクツラ学園】は国内でも有数のマンモス学園である。 国内のあらゆる所から生徒が集まり、また貴族の子供が多いことでも有名。更に付け加えるなら、卒業した生徒の三割が王国の騎士団に入団、残りの五割もギルドや学者などで活躍している実績があるので、入学を希望する生徒は後を絶たないらしい。 務める教師も優秀な者が大半を占め、評判は更に上がっているようだ。 そんな超有名魔法学校に、シグは今日から赴任することになっている。 「…………」 時刻は朝の七時。 まだ生徒も登校して来ない時間に、シグは学園の入り口の門前に立っていた。 服装は朝のまま、しわだらけの黒いスーツによれた黒いコートである。口には火を付けたばかりのタバコが咥えられていて、どうみても学園に侵入を考えている不審者だった。 門の周りを通る人もあからさまに怪訝な視線を向けているものの、シグは気にすることなく、手に持った紙を見返して煙を吐いた。 「ここ、でいいんだよな」 何度見返しても地図は学園の場所をここだと示している。シグは紙をコートのポケットにしまい、かわりに一枚のカードを取り出した 「ったく、いちいち面倒な学校だな」 シグはカードを門の一部に差し込んだ。すると門は喧しい音をたてながら開いた。 (金かけすぎだろ) 無駄な豪華さに陰気になりつつも、シグは学園に入っていった。
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