始まりと挨拶

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「やりたいことか……」 シグは納得いかなさそうであったが、「まぁいいか」と興味をなくし、足を組んだ。 「もういいかなシグ先生。聞きたいことがないなら本題に入りたいんだが」 「あぁ、今のところはない。さっさと話をしてくれ」 自分のせいで遅れをだしたくせに、シグはまるで関係ないようにカールに言った。 「じゃあ始めるよ?」 カールもシグの態度を咎めもせず、一枚の紙をシグに手渡した。 「まずシグ先生に担当してもらう教科だけど、魔法戦闘学に決まったよ」 「魔法戦闘学?」 聞き慣れない単語に、シグは軽く眉根を寄せた。 「そう、内容は、簡単に言うなら魔法と魔武器を使って扱いに慣れさすこと。どんなに強い魔法を扱えても、実戦で使えなかったら意味ないからね」 「ふ~ん。……目的は生徒の実力を上げ、経験を積ませるってとこか?」 「ご明察。うちは優秀な生徒が多いのが売りだけど、その半分は実戦経験ゼロの子ばっかりだからね。多少は授業で補わないと」 カールの言うことはもっともだなと、シグは思った。 例えどんなに魔力が高くて強い魔法が使えても、発動までに時間がかかるならそいつは使えない。 スピードが勝負の決め手になることが珍しくないことを、シグはよく知っていた。
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