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「気付きましたか?」
極月も笑った。
「おじさん、うっかりしてたわ。
亀さんとこの息子は
堅気の仕事を選んだんだわ。
で、孫娘の君が次期会長の座に…だろ?」
「……父は、極道が嫌いみたいどす。
母も堅気の人やし。
せやからワテが祖父の跡を継ぎます」
「よく決心したなぁ。さすが亀さんの孫だ」
トラジが優しい眼差しで極月を見た。
「跡取りがいなくちゃ、お祖父ちゃんが可哀想やから」
ペロッと舌を出し極月が笑う。
「亀組は永久に安泰だな!
わしも出来るだけ協力させてもらうからな」
「ありがとうございます。トラジはん」
「亀さんとは同級生だし、もうかれこれ50年以上の付き合いだからな。
昔はたくさんわしも世話になったんじゃ」
懐かしむようにトラジが言った。
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