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何処へ行けば救われるの?
何をしたら逃れられる?
誰か助けてくれる?
深いため息を一つつくと、頬に冷たい雫が触れた。
「…雨?」
空を見上げると、また頬やおでこや鼻先に、冷たい雫が落ちてきた。
「…やだ…傘ないや…」
傘も処分してきちゃった。
あの人が好きだって言った色だったから…
「…濡れても構わないか…」
雨に濡れて髪がボサボサになったとしても、メイクが流れてしまっても、今の私にはどうでもいい事だった。
ポツリポツリと、しだいに本降りになっていく雨に人々は走り出し、また私だけ取り残されてゆく。
立ち止まったのは、出来たばかりの一つのマンションの前だった。
「…また来ちゃった…」
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