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屁怒絽がその少年に気付いたのは、午後から花の手入れをしようと店内から出てきた時であった。
屁「いらっしゃいませ、どうしましたか?」屁怒絽が少年に声をかける。声をかけるだけで大人すら泣く程の風貌をしている彼に、少年は怖がるどころか笑顔で答えた。
「こんにちは、おじさん。この赤い花、綺麗だなぁって思って。」
屁「ははは、ありがとうございます。この花は、私の故郷で自生している花でしてね、人々に安らぎをもたらす花と言われてるんですよ。」
屁怒絽が笑顔で花の説明をした。
「安らぎかぁ…おじさん、この花、買いたいんだけど、いいかな?」
屁「勿論、いいですよ。誰か渡したい人がいるんですか?」
少年は少し寂しそうな顔をして、こう返した。
「……僕の、大切な人に、お礼をしたくて。」
屁「……?」
屁怒絽はその時、何か引っ掛かるものを感じた。少年の心の中にある、深い哀しみとでも言おうか。
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