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出来ないの知ってるし。そんなの出来なくても、全然平気だし。しなくても生きていけるし。 黒く見えるアスファルト眺めて沢木の横を歩いた。 「…ほら」 目の前に差し出された沢木の、大きくて意外と綺麗な手を眺める。 ああ、うん。思わず立ち止まってしまった。 いいのかな。そう思って沢木を見上げたら、口をへの字にしてなんか怒ってるような顔してた。 「早くしろ」 ぶっきらぼうに言われて、ヘラリと笑ってポケットから手を出した。
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