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~リュカside~
「ふあぁ……」
船を降りた俺は大欠伸。よく寝たぁ……。
ここはアンクの町。どういうわけか、ここからしかダリル王国への船が出ていない。
「船は…………まだ時間あるね」
俺は船の出航時間の書かれたボードを見て呟く。
朝御飯は船で食べたし……ちょっと町を散歩しよ。
俺はブラブラ町へ繰り出す。
ハーフのせいで、周りから随分人目を引いている。
「…………今頃ランディ達、どうしてるかなぁ……?」
俺はふっと、幼馴染みであり親友のランディの笑顔を思い出す。
もう……あの笑顔も見られないのかな? 大好きだった、向日葵のような、太陽のような笑顔…………。
俺はふるふると首を横に振って、考えない事にした。
どのみち俺は、ランディ達を裏切った。もうランディ達に会えはしない。
「……それにしても……シーズさんはなんで、逃亡の手引きなんかしてくれたんだろ?」
とにかく別の方向に行きたかった俺は無理矢理、思考を別の方にむける。
たぶん、あの様子じゃおじいちゃん達に知らせる気もないだろうな……。まぁ庇ってくれるのは嬉しいんだけど…………。
う~ん……。あの人の考えはわからない!
俺は近くのベンチに座った。
ベンチは他にも3人座っていてギュウギュウ詰め。
そこに、一人のお婆さんが杖をついて歩いてきた。
……どうしよ……。誰も譲る気、なさそう……。でも、このままじゃお婆さん可哀想…………。
俺は恥ずかしいのを我慢して、お婆さんに話しかける事にした。
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