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「あの…………よかったら、どうぞ……」
俺はベンチから立って、お婆さんに声をかける。
「あらあら。ありがとうございます」
お婆さんは嬉しそうに言って、俺の譲ったベンチに座った。
うう……。恥ずかしかった…………。
俺はまた町をふらふらし始める。
ランディなら、「偉い!」って褒めてくれたかな?
俺がそんな事を考えてると、ケーキ屋さん発見。
「わぁ……! 美味しそう」
ケーキ食べたいな。作ろっかな?
その時、後ろから肩をトントンってされた。でも、無視する俺。
「…………リュカ?」
どこか困ったような、聞き覚えのある声が聴こえた。
…………。
俺はぎこちなく後ろを向いた。
「…………」
お互いに黙った。
幼馴染み11人組、平均年齢16才。それより3つ年上の口うるさい幼馴染み・シャルロット発見。一応俺の1つ年上。
…………。
「……え~と……ケーキ、美味しそうだね」
「何言ってんの、リュカ? まぁ確かに美味しそうだけど……」
どうでもいい事を話題に挙げた、挙動不審な俺。
なんでシャルがこんな所にいるの~!?
「一人? 何してるの?」
明らかに『元気な村娘』の格好をしているシャルに訊かれた。首の後ろ辺りで揃えられたショートボブの茶髪が、少しだけ風になびいてる。
どうしよ。なんて答えよう……?
「……ドロボウ」
「何が言いたいのアンタは……」
シャルに呆れられた。
「だから、ドロボウしようとしてるの」
「自警団の人呼ぼうか」
「ヤメテ。嘘だから」
シャルが自警団の人を呼ぼうとしたから、慌てて嘘とバラす小心者な俺。
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