39人が本棚に入れています
本棚に追加
「……で、何してるの? シャルは」
「リュカは何してるの?」
結局聞きたい事は同じだった。
「俺はシャルの尻に敷かれてるの」
「殴るわよアンタ」
あながち間違いじゃない! ……はず。
「で、シャルは?」
シャルの脅し文句を流して訊ねる俺。
「アンタってやつは……! 私はおばあちゃんに頼まれてここの特産品の万年筆買いに来たんだけど……。今在庫切らしてて、明日来るんだって」
シャルはため息混じりにそう答えた。
「……わざわざこんなとこに買いに来なくたって、キラディスでも売ってるでしょ? なんでイーリスからここに来なきゃいけないのさ」
このアンクの町からシャルの故郷・イーリスの村までは船で約1週間と、歩きで約3日かかる。なんで万年筆なんかの為にそんなアホらしい距離を往復しなきゃいけないの?
ちなみにイーリスには、俺とランディのひいおばあちゃんも住んでます。おじいちゃん達の養母なんだって。
「おばあちゃんがここの万年筆、気に入ってるの。で、そろそろ自分で買いに行くのが辛いから買ってきてって……。ったく、しょうがないんだから……」
「ふ~ん」
俺はそう言って時計を見る。
……あ。もうすぐ船の時間だ。
「じゃあ俺、急ぎだから」
話を打ち切る為、適当な言い訳をして俺はシャルと別れた。
次に会うのは年末年始でありますように。
最初のコメントを投稿しよう!