第二夜

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 さてさて、のんびり船旅をしてたどり着いたのはちょっと寒い港。ここは港と町が少し離れているんだって。めんどくさいね。  シャルと別れて船に乗って、船に揺られて3日。まだ9月だから、雪は降ってません。 「……10月になったら雪降るかなぁ~?」  俺は呑気にそう言って歩き出す。  今頃ランディ達はどうしてるのかな~? 俺を探してるかな?  でも帰ろうとは思わない。だって帰っても、また俺のせいで犠牲者が出るのは御免だし。  俺は一人、気ままな旅を続けます。 『主よ。本当にこれでよかったのか?』  俺の頭に、低い声が響いた。俺が契約した…というかさせられた幻魔・フェニックスだ。  幻魔はみんな、魔力を解放した時の別の姿を持っている。そしてその別の姿で、使い魔みたいな感じで他人と契約をする事が出来る。  そして幻魔と契約し、その幻魔を行使する人は召喚士と呼ばれる。  魔力と精神力の高い幻魔は15までにはみんな出来る事。でも人間だと召喚魔法を習い始めて40年はかかるらしい。…………あ、召喚魔法って幻魔を召喚して行使する魔法ね。  契約は一生に一度きり。  でも俺はシーズさんに半ば強制的にフェニックスを継がされた。  フェニックスは特別な幻魔で、俺の王家の第一王子が必ず継ぐって決まってるんだ。 『何が?』  俺も頭の中でそう訊ねる。 『自分の悲しみを隠してまで、家出などしてよかったのか?』 『いいよ別に。俺のせいで無駄な争いが起きるならこれでいい』  俺がそう答えると、フェニックスは黙った。  一番近い町に行こ~。  俺はのんびり街道を歩いて行く。  早く雪降らないかな~? 雪遊びしたいな~。雪合戦、かまくら、雪だるま~。 「あ! 大きな木~!!」  俺は寄り道したり、道草を食いながらのんびり街道を歩いて行く。  木登りしよう、木登り!  
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