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~ミルカside~
リュカの家出から1週間と4日が経った。私達は今、レティス帝国領の船着き場にいる。
3日前、シャルがリュカに会ったって言ってたし……。リュカの事を船乗りさんに訊いたら帝国行きの船に乗った、て言ってた。
だからきっと、ここにいるはず。
「しっかし、リュカもなんでこんな所……」
「僕はリュカ兄の事を『女性』として訊ねたランディ兄にびっくりしたけど……ランディ兄はリュカ兄がこんな所に来た事にびっくりなんだね…………」
ランディはちょっと寒そうにぼやいたけど、ホークは特に寒そうな気配なく呟いた。
船乗りさんにリュカの事を訊く時、ランディはこう言った。
「18歳ぐらいで長いプラチナブロンドの髪を首の後ろで縛っててコバルトブルーの目をした、色白のハーフの『女性』を知りませんか?」
……リュカは『ハーフの女性』にされた。たぶん、リュカがいたら死刑にあっていたと思う。
「だって『男』って言うより『女』って伝えた方がわかりやすいだろ?」
「…………まぁ……」
……そこ、否定しないんだねホーク。
…………まぁ、正直私もそう思うけど……。
「とにかく、一番近い町から当たって行こう……?」
とりあえず私は、そう提案してみる。
「そだな。あのリュカの事だからマイペースに、思いっきり道草食ってんだろ」
ランディはのんびり、でもどこか心配そうに言った。
「あ……。ちょっと待ってて」
私は2人を待たせて、近くの船の整備をしている人の所にリュカの事を訊きに行った。
「あの……。ちょっと、人を探しているんです。長いプラチナブロンドの髪をしていてコバルトブルーの目をした色白の」
「ああ。その『女性』なら昨日、そこの街道を通って行ったみたいだよ?」
…………女性…………。
「……ありがとうございます」
私はそう言って2人の所へ戻った。
「どうだった?」
ホークに訊ねられて私はこう答えた。
「リュカらしい『女性』が昨日そこの街道を通った、て」
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