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~ミルカside~
「…………」
何故、街道に死体があるの?
私達は近くの村にむかっていた。時刻は既に、午後1時。
リュカって結構無邪気なところがあるから、お祭りとか回ってるかと思ったけどそうでもなかったみたい。まぁ、うるさいの嫌うからお祭りにいるかどうかは五分五分だったんだけど……。
「この殺し方……もしかして、リュカか?」
ランディは兵士2人が動脈を切られて死んでいる様を見て呟く。
確かに……。死因であろう太い動脈の傷以外、全く傷がない…………。普通ならもう少し、傷や魔法の跡があってもいいのに……。
「けど、じゃあこの鉄の破片は……?」
ホークは近くに散らばっている何かの鉄の破片を1枚、拾って持ってくる。
辺りの草は、何故か焼け焦げている。
「もっと大勢の兵がいて、その鎧を砕いたのかもしれない……」
私は辺りの焼けた草を見て、自分の意見を述べる。
「鎧を砕く?? リュカにそんな力、ないぞ?」
「辺り、焼けてる。……鉄っていうのは急な温度変化に弱いの。例えば今まで冷水に浸していた鉄をいきなりとんでもない熱さの熱湯に入れるとか。そうすると砕け易くなるの」
なるたけ分かり易い例えを出して、ランディに解説をする。
まぁ、ランディには必要のない知識かもしれない。何もしなくても、素手で鎧砕けちゃうんだから。
「そっか。リュカは氷の魔法が得意だもんな……。フェニックスと併用すれば、このくらいは出来るかもしれない。頭いいし」
ランディが呟く。
リュカ、頭いいからこのぐらいは知ってるのかも……。ただ普段、その頭の良さを別の方向に使うんだよね…………。
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