あのとき

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「……お嬢さん、大丈夫かい?」 近くにいた人が心配して話しかけてくれたが、 「あ……はい…」 感情の無い声でしか返せなかった。 どうしよう… 大樹のとこ…行かなきゃ… 足が、動かない… 「なんでよ…なんで大樹なの…」 あたしは動けないまま泣いた。 泣いてる間に救急車が来た。大樹が乗せられてる。行きたい。大樹の元へ… 「紗耶ちゃん!!」 「!!あ、お兄さん… 大樹が…大樹……」 あたしの涙腺は知り合いがいる安心感でさらに崩壊した。 「大丈夫!大樹は紗耶ちゃんをおいてかないから… 俺の弟だよ?信じてあげて?」 「はい…」 「さ、救急車乗るよ」 あたしはお兄さんと救急車に乗り込み、病院へ向かった。
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