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「おいあんた、今この船から降りたよな?不法入国者かい?」
「違う。」
黒いローブから聞こえた高い声に、真撰組隊士達は目を見開く。声からして、相手は十歳程の少女だ。
「お嬢さん、悪いことは言わない。俺達と来てくれ。あんたみたいな子供に危害を加えたくない。」
「断る。」
はっきりと告げる少女に溜め息をつく。一人の隊士が少女の手を掴んだ。
「ほら行くぞ。どんな理由があっても不法入国は犯罪だ。屯所で話を聞く。」
「…お願い、離して。」
「駄目だ。」
か細い少女の声に強く言い返し、歩き出そうとした。
瞬間、
ダァンッ
隊士の体が滑走路に叩き付けられた。見れば、白目を剥いて昏倒している。
「なっ、お前!!」
それを見た隊士達は少女に剣を構えた。少女は黒いローブの中から傘を取り出し、構える。
「悪いがここは通させて貰う。」
静かに言い放ち、一気に加速する。尋常でない速さを見た一人の隊士が、後ろから来た応援に叫んだ。
「警報を鳴らせ!!副長に連絡をッガハッ!!??」
彼は最後まで言わないうちに、派手な音をたてて崩れ落ちた。
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