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警報が鳴り響く方へ、土方と総悟は走る。場所は滑走路らしく、真撰組隊士が船から降りた不法入国者を捕らえようとしたところ、突如暴れ出したという事だ。
「かなり腕が立つらしい。油断するなよ。」
「分かってまさァ、土方さん。」
“腕が立つ”という単語に反応して笑みを浮かべる総悟に、土方は溜め息をつく。そして二人は滑走路に出た。
「…こりゃ酷え。」
土方は目の前の惨状に唖然とする。連れて来た隊士の殆どが、数にして三十を越える男達が倒れ伏していた。その倒れた男達の中央には、小柄な黒いローブの人影が見える。
「アイツか。」
呟いて土方は剣を構えるが、隣の総悟は既に地を蹴り走り出していた。
「総悟!!」
土方の声を無視し、総悟は黒いローブに斬りかかる。自分の刀を受け止めた相手の得物に、総悟は目を見開いた。
「傘…?」
二撃、三撃を加え、一度距離をとる。総悟は相手をまっすぐ見据え、尋ねた。
「アンタ、夜兔ですかィ?」
「…だったらどうする。」
黒いローブが発した高い声に、総悟は言葉を失った。
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