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その高い声は、どうしても一人の少女を連想させた。
(チャイナにそっくりでさァ…。)
しかし、総悟は冷静に考え直す。神楽がいなくなって、十年が経っているのだ。それだけ長い月日が経っているのに、神楽が全く成長していないとは考えにくい。
(とりあえず、何者かはわかんねえって事でさァ。)
一番手っ取り早い方法は一つ、相手の姿を見ればいい。瞬間、総悟は再び走り出した。刀と傘が交わり、火花が散る。傘の突きを素早く避けながら、相手のある一点を狙う。
相手が一瞬攻撃を緩めた、その時。
ザンッ
総悟は相手を斬り上げた。血は流れず、ただ静かに黒いローブが地面に落ちる。そしてそこに現れたのは。
神楽と同じ顔をした、少女だった。
ただ一つ違うとすれば、瞳の色がどす黒い赤色だった事だろうか。
左腕からは血が流れていて、傘を握る右手は痙攣している。肩まで伸びた桃色の髪はボサボサで、青いチャイナドレスは血だらけだった。
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