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肩で息をする彼女は、総悟をきつく睨みつけ言う。
「姿を晒して何がしたい。」
「いや、アンタの声が知り合いに似てるから、もしやと思って顔を見させていただきやした。」
総悟は剣を構えながら続ける。
「その傷は何処で?」
「関係ない。」
「じゃあ…、神楽と言う夜兔の女を知ってますかィ?」
“神楽”という言葉に少女は反応した。今までにない殺気を総悟に向け、痙攣が止まるほど強く傘を握りしめる。
「お前、春雨か?」
突如出てきた海賊の名前に、総悟は少しだけ眉を寄せる。それを肯定とみなしたのか、少女は冷たく言い放った。
「追っ手は殺す、それだけだ。」
ダンッ
直後、総悟は物凄い力で蹴り飛ばされた。続けざまに踵落しをくらい、コンクリートの滑走路に沈められる。
「がッ!!??」
そして傘が振り下ろされようとしたその時。
長い針が、少女の脇腹に突き刺さった。
「くそッ…。」
苦しそうに目を細めて、少女が倒れる。少女が動かなくなると、土方や、応援に来た他の隊士が総悟に駆け寄った。
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