流れた季節

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極力人とは関わらず、会話をしない。招集された任務には必ず赴くが、現場に入ると真っ先に敵陣へ飛び込み、狂ったように敵を斬り刻んだ。 今でこそ土方や近藤のお陰で回復したが、当時はかなり悲惨なものだった。 「あれからもう十年も経ったんだ。総悟ももう子供じゃねぇんだし、そろそろ吹っ切れてもいいと思うんだけどな…。」 煙を吐き出しながら土方は続ける。 「そうでもしねーとあいつ、いつまで経っても進めねえよ。」 かつて自分がそうであったように。 どこか遠くを見つめて呟く土方に、近藤は小さく「そうだな。」と、返した。 無理に忘れるのではなく、事実を受け入れなければならない事に総悟も気付いているはずだ。それでもまだ目を逸らそうとする彼を思い出し、土方はまた深く溜め息をついた。
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