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江戸を歩く二人の男が持つ雰囲気は、異様なものだった。一人の顔は布で覆われ、表情は見えないが、目が笑っていて気味が悪い。もう一人はただ黙々とその後ろを歩いている。
「で、神羅がいる場所の目星は付いてるんだよね?」
尋ねる男―――神威に、阿伏兎は頷く。
「不法入国で真撰組に捕まって、隔離されてるらしいぞ。」
「えー?神羅が本気出せば新撰組なんか壊滅できるでしょ。ったく甘いなぁ神羅は。」
呆れたように溜め息をつく。そんな神威に、阿伏兎は続けた。
「あと、神楽が地球にむかってるらしい。監視させてた小隊からの最後の連絡だ。」
「最後の連絡って事は、神楽にやられたんだね。」
無邪気に喜ぶ神威に阿伏兎は無表情に頷く。
「小隊を壊滅させて神羅の情報を聞き出したのかぁ、さすが俺の妹だな。」
その眼は濁っていて、狂気しか映していない。
「地球で親子三人再会できそうだなぁ。じゃあ早速、愛娘のお迎えにいこーか。」
神威がそう言うと二人は地を蹴り、一瞬で人込みから消え去った。
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