truth

3/105
544人が本棚に入れています
本棚に追加
/1697ページ
住宅地の抜けた所で、 並木君の車が短いクラクションを鳴らす。 …わぁ、BMじゃん。 黒いピカピカの車体に、 私の明らかに若作りな服装が歪んだ。 「今日はすごくかわいいですねっ。さあ、どうぞ」 わざわざ助手席のドアを開けに来てくれる。 「…あ、ちょっとかわいくなりすぎちゃったかなー…なんて」 必殺モテ服。 なんてまんま買いすぎちゃったなー。 すけすけシフォンの薄ピンクブラウス。 …とにかく今日はレースが満載。 「いえいえ、かなり似合ってますよ。じゃ、行きましょうか」 にこやかにハンドルを握り、 並木君は言った。 …ってどこの夜景って言ってたっけ? 確か…Rブリッジまで行きましょう、とかなんとか前に言ってたな…舞い上がりすぎて忘れちゃった。 「あ、あの今日ってどこの夜景だったっけ?」 「あっ…しまった…」 「…えっ?」 走り出してすぐ、 並木君が路肩に車を停める。 「…すいません…僕飲み物用意すんの忘れてて…ちょっとそこのコンビニで買ってきますねっ」 私が止めるのもきかず、 外に出て走る並木君…。 飲み物なんていいのに…。
/1697ページ

最初のコメントを投稿しよう!