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『…温さん?』
携帯を耳にあて、
駅への信号を渡る。
『…うん。ごめん、まだ仕事中?』
『ではないけど、どうしたの?』
『…ちょっと…弱ってる』
ゲホゲホッと咳き込む声。
…風邪ひいたんだ。
寝袋には入ってたけど
思いっきり外だったし、
梅雨の晴れ間だと言っても、
あの辺りの気温は低い。
『…今家だよね?行ってもいい?』
『…俺は…その方が有難いけど…
カズにうつしちゃうかもしれ』
ゲホゲホとまた咳。
熱もかなりあるに違いない。
住所を聞いて電話を切り、
ここからそう遠くない場所まで
タクシーに乗る。
途中で止まってもらって
まだ開いてるスーパーと薬局に寄り、
なんとかたどり着いたそこは…
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